数理音楽2.前回紹介したTonal Pitch Space (TPS)モデルについて調べてきた.
これまで音楽(特に調性音楽)の数理モデル化を色々な音楽研究者がおこなってきていて,それらをバックグラウンドとし,融合し,そして「えいやっ」とモデル化してみた話だ.
voice leadingを見るにあたってchord間の何らかの意味での距離を決めてできるだけ定量的な扱いに持っていけるようにしている.
で,そのchord間の距離についての定義なんだが,調性理論に基づいたpitchのbasic spaceに関する距離,各chord が属しているkeyの間の距離,そして三度堆積和音同士の距離の和としてchord 間の距離
\[
\delta(x,y)=B(x,y)+K(x,y)+C(x,y)
\]で,以前このTPSについて取り組もうとしたとき,どうにもこの3つの距離の単純和として距離を与えることに同意できず,maximal even による調性音楽理解を進めることにしたのだった.
今回改めてBasic Spaceの成り立ちについて見てみると,基本的には三度堆積和音を扱うのであれば自然に倍音関係を強調した,そしてそのchordがどのkeyに住んでいると解釈するのかも加味した測定の方法になっていはいるので,まずはこの部分についてはそれなりの妥当性を見いだせるように思える.
そもそもこの定式化なら
(a) Root (b) 骨組み (c) chord構成音 (d) scale音 (e) chromatic scale
の5 levelでウエイトを付けた測定だ,といった一般化が見える.
もっとも(b)の「骨組み」をどう定式化するか,は問題だ.通常の三度堆積ならRoot+perf.5thとなる部分だ.けれど例えばdimやviiといったchordとなると,root+perf.5thという形は持たないので(b)に相当するものをどうするか,となる.
いずれにせよ,もう少し突っ込んでみよう.
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