ライツアウトの数理も再開.
前期までは何とかしてが2項からなる場合だけでも解決できないかと悩んでいたが,この夏にあれこれ考えてみて,任意次数のライツアウトに対してのが決定できることが分かった.そのポイントとなる仕組みが,Fibonacci多項式である.
ここではから始めて,
によって定まる多項式をFibonacci多項式と呼ぶことにするが,一般にはこのうちのほうを指す.すぐ分かるように,なので,漸化式
が得られる.この多項式を用いると,結論は
となるということだ.ここで は多項式の最大共通因子を表し, はの次数を表す.
これが正しそうか,幾つかの例で見てみよう.そのために,写像 を用意しておく.これは,以下のようなFibonacci多項式の性質に由来する.
まず,に対して,
が帰納的に分かるので,等式
を通じて
が得られる.さらにとすると,
が得られる.ただし,での演算なので,Fibonacci多項式の漸化式が
とも表されることを使った.また以下では,しばしば
が成り立つことを使う.たとえば などと書き換えられる.
2021年度卒論で得られた結果の一つが,のとき ということだった.一方, に気づけば,帰納的に
が分かる.すると,となり,なので, で先程の結果に一致する.
また,卒論では が2項からなる場合()について と予想していた. に気づけば,帰納的に
が得られる.さてすると,なので,
となるから, であり,
となって,卒論で予想したとおりの値となった.
タカラから発売された のオリジナルのライツアウトでは,-次元のライツアウト行列 を考えることになるが,そのランクが,
となり,よく知られた結果に一致する.つまり,あのゲームでは,2次元分の解の自由度があり,また,解がない(all offにできない)初期配置があるということだ.
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